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モノ書き術 [味村ノート]

マニュアルは,ともかくそれによって行動すれば,ある目的が一応達せられるものであろう.旧聞であるが,太平洋戦争当時,B29の操縦マニュアルは,自動車を運転できる人なら,読めば完全に飛ばせるようになっていたという.マニュアルが小説や週間誌の興味記事と違うことは心得ている.だからといって,無味乾燥でも致し方ない,正確でくわしければよいというわけにはならない.マニュアルを念頭に置き「モノ書き術」を考えてみる.

構想1_S.jpg◇ 書くための構想 

① 全体を見通した構想
 何事も全体を見通した構想が肝心である.モノを書くときも同様である.テーマとそれを展開する広さのかねあいを考えねばならない.字数とか長さといわず,広さといった点に注意してほしい.書いた結果は,テープ上に長々と一次元で展開されるわけではない。1ページずつの平面に表現される.そこには図も表もある.文字にも大小がある.これらは長さではない.広さとして把握すべきである.

② リズムに乗ったキーワードで構想展開
 構想は頭のなかだけでアレコレやっても,展開もせずまとまりもしない.展開には,キーワードを思いつくまま並べることが手っ取り早い.このとき,あるリズムが必要である.リズムが狂うと,展開があらぬ方向へ行ったり,止まったりする.文章のための書き言葉を探していては,このリズムが狂う.そこで,頭に浮かぷ言葉,つまりキーワードを思いつくまま,リズムに乗って並べるのである.

③ キーワード全体を俯瞰する
 キーワードは,ひと目で見渡せる広さの白紙に書くのがよい.ひと目とは,体や頑を動かさないで,限球だけを動かして見渡せる広さである.変にマス目や線があるのはよくない.このために,キーワードのまとまりが切れては何もならない.また,キーワード間の関連がわかるように書くことである.一次元的に目でスキャンさせずに,二次元的にパターンとしてとらえることが必要である.

④ キーワードをグループ化してインデックスに
 キーワードの展開が終わると,グループにして目次案を作る.章から節,節から小節,さらに内容のコメントというようにする.途中で,章や節の入れ換え,内容の追加,削除,変更などが起るのは当然である.これは,展開する広さを考えて,その中で相手に読ませるための努力である.労を惜しんではならない.
 このとき,第三者を介入させてレビューすることを推す向きがある.悪くはないが,すべてを第三者に頼ってはならない.書くのは当事者である.

⑤ 図表もキーワード
 モノを書くことには,図や表を含んでいる.これらについても書きたいことは多くあるが,ここでは触れない.
ただ,図は写真と機能的に異なり,図を写真で代用できないことをいっておきたい.また,文章を書く前に,図や表を作り,写真を撮っておくことがのぞましい.これらは構想の展開にキーワードと共に並べて有効である.


読ませる文章
読ませる_S.jpg
 「オペレーティング・システムは,エグゼクティブの下に,ランゲージ・プロセッサ,ユーティリティ・プログラム,アプリケーション・パッケージ,ユーザ・プログラムより構成される」
 典型的なマニュアルの文章である.カナがほとんどであり,したがって切れ目まで息がつけないほど長い.この調子で,使う順序でなく作った順序で書き立てられる.使う側は,これを使う順序に焼直して読む.これではとても耐えられたものではない。

 外来語を無雑作にカナで置き換える現象は,戦後の新聞雑誌や広告に共通することである.新しい日本語として受け取るべきだとの意見もある.現代人にとっては,そんなに抵抗がないのかもしれない.明治の初め,すべてが外来語であったものを,先人はあれほど日本語にした.これを考えると,単に時代の差では割切れないものがある.辞書の訳語の最初のものを機械的に組合わせたものや屁理屈の語呂合わせなどの訳語では困る.十二分に消化した訳語が欲しいものである.学識経験者の努力を期待したい.

 つぎの表は,文章でも読ませる作品の書き出しを,文の字数(読点までの長さ)で示したものである.
作家(作品名)  文の字数(出現の順) 平均字数/文
夏目漱石(草枕) 13,9,10,9,12,22,27 16.0
志賀直哉(城の崎にて) 41,44,40,24 38.5
川端康成(雪国) 20,9,11,27,10,31,42 21.4

 先にあげたマニュアルの文例に比べて,長さは半分以下である.作者の意図や情景の描写が,短いハギレのよい文章で,つぎつぎと展開されていることがわかる.

 読ませる文章を書く基本は,簡潔に書くことである.文句をいわずに,一文を短くする.1行20字詰の原稿用紙ならば,2~3行で「。」をつける.やってみればわかるが,これは大変苦しいことである.

 短く書くためこ,手っ取り早い方法は,つぎの2つを意識的に実行することである.
ⅰ 形容詞や副詞をやめること
広告に多いが,「広い適用性」,「高い信頼性」,「すぐれたソフトウエア」などの「広い」,「高い」,「すぐれた」をやめる.また「大きい容量」などは定量的に書く.
ⅱ 接続詞をやめること
「‥…であるが,‥…」,「‥…である.しかし,……」などは,「……である.‥…」とする.また,段落のはじめの「さて」,「ところで」などは不必要である.それは,自分の無能さに困り果てたタメ息以外の何ものでもない.
 と,ここまで書いた.果たしてこの文章がそのようになっているか,これは読者諸氏に検討していただきたい.なっていなかったら,「言うは易く,行なうは難し」の証明をしたことになる.


[目]

今回の味村ノートは30年ほど前の一文です。某誌に連載されていた「モノ書き術入門」と題された中から一部を編集しています。文責はGPA Talksにあります。

今はパソコンで原稿を書くためか、直接に文章を書き始めてしまい、キーワードによる全体構成のステップを省いてしまうことが少なくありません。そのためばかりではないでしょうが、構成が悪く、何が言いたいのか分らない悪文が目につくそうです。私自身も、近頃はついついキーワード構成をじっくり練るプロセスを飛ばしてしまうことが多くなりました。マニュアルや技術文書は言うに及ばず日常のプレゼン資料でも、きちんとコンセプトマップを作成すれば良いのでしょうが、億劫になってしまいます。すっかり起動されなくなった、[CMapTool]をまたいじってみようかな。
cmap2.jpg
  [CMapTool]本家?はこちら
   http://cmap.ihmc.us/
  日本語の説明が少しありダウンロードできます。
   http://cmaptools.softonic.jp/
      リンク確認2014年5月

[いす]
〇 [味村ノート]については→こちら
〇 イラストは下記URLよりフリーイラストを使わせていただきました。
   http://kids.wanpug.com/top_person.html
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